かきおこしラボ

ラジオで紹介された音楽を深掘り〜聴き放題サブスク用ライナーノーツ風ブログ

MUSIC

アフロビート/南アフリカ音楽/UKジャズなどが交錯Coldcutの新コラボ企画「Keleketla!」

投稿日:

Keleketla!のアルバム「Keleketla!」

TBSラジオ『荻上チキ・Session-22』で2020年7月は「アフロポップのイマがわかる4曲」と題して、音楽ライターの吉本秀純さんが選曲、1回目(7月7日放送)は「Keleketla!」の最新アルバムよりKeleketla! and Coldcutの「Future Toyi Toyi」を取り上げた。

Coldcutによる新プロジェクト「Keleketla!」とは?

「Future Toyi Toyi」のMVより

Keleketla!(ケレケトラ!)とはレーベル「Ninja Tune」を主催するColdcut(コールドカット)による新プロジェクト。

コールドカットのマット・ブラックとジョナサン・モアと南アフリカのミュージシャンたちのコラボ企画としてはじまり、最終的にヨハネスブルグ、ロンドン、ラゴス、ロスアンゼルス、ジャカルタなど世界を股にかけるプロジェクトとなった。

Keleketla!というのはイギリスのクラブシーンを80年代からずっと牽引しているColdcutという2人組のユニットがあるんですけど、そのColdcutが中心になって南アフリカの音楽家とちょっとコラボするようになって。

それを基に南アフリカだけじゃなくて、たとえばナイジェリアとかアメリカであったりアフリカ音楽に精通しているロンドンのジャズミュージシャンだったり、そういうのが参加していって、割とアフロものをベースにしたワールドワイドなダンスミュージックみたいな感じになって成立したグループです。

吉本秀純 TBSラジオ『荻上チキ・Session-22』7月7日放送より

4月に逝去したTony Allenも参加

アルバム『Keleketla!』から「Future Toyi Toyi」をピックアップ、リズムや曲の誕生の経緯などについて吉本さんが解説した。

アフロビートと南アフリカのゴムのビートの融合

吉本:ポリリズミックなドラムを叩いているのがアフロ・ビートの創始者とも言われているTony Allen(トーニー・アレン)というドラマーでちょうど4月の終わりに亡くなってしまったんですけど、79歳で。そのトーニー・アレンが叩いているビートですね。

荻上:このビートとはどういったムーブメントの影響があるんでしょうか?

吉本:トニー・アレンが叩いているドラムのビートっていうのはナイジェリアで発達したアフロ・ビートに由来しているリズムではあるんですけど。

この曲でもうひとつベースになっているのは南アフリカのゴムというビートで、英語のスペルで「Gqom」と書くんですけど。

南アフリカのダーバンという都市の地下のクラブで発展してきたビートでそれが割とアンダーグラウンドなDJの間で注目されていたんですけど、そのビートが後ろに入っている感じですねこの曲は。

かけ声みたいなのが入っていたのは、実はColdcutのふたりが南アフリカで一緒にコラボしているときに出会ったDJが、南アフリカのアパルトヘイト製作に反対する学生のデモのシュプレヒコールの音を上手く使っているDJがいたのを聴いて感動して、その学生運動のかけ声を使っているんです。

荻上:これは実際のデモや集会の音なのですか?

吉本:そうです、南アフリカのデモの音をかけ合わせて、でやっぱり南アフリカのラッパーがリリックとかも自由を求めるメッセージのことを伝えていてという感じで。

ダンサブルなんですけど同時にポリティカル(政治的)なメッセージを含んだ曲になっています。

やっぱりそこらへんはColdcutというのがクラブシーンの黎明期からやっているドンみたいな存在なので色々な要素をかけ合わせたりサンプリングして新しいものを作っていくのに長けているグループで、それが今回はアフリカをベースに新しいものを生んだという感じです。

なおKeleketla!のリリースにあわせてColdcutの公式YouTubeでは製作の舞台裏を紹介したドキュメンタリーも公開している。

2020年重要作Keleketla!のアルバム『Keleketla!』

世界各地の名だたるミュージシャンが参加

Keleketla!のアルバム『Keleketla!』は7月3日にリリースされたばかりだ。上記のように世界各地の名だたるミュージシャンが参加している。

主な参加ミュージシャンは
・Sibusile Xaba(シブシル・シャバ)ー南アフリカ東部クワズールー・ナタール・ミッドランドの伝統音楽を継承するギタリストでSSW
・Yugen Blakrok(ユーゲン・ブラックロック)ー映画「プラックパンサー」のサントラにも参加したラッパー
・Tony Allen(トーニー・アレン)アフロビートのパイオニアで2020年4月30日に死亡
・Dele Sosimi(デレ・ソシミ)
・Joe Armon-Jones(ジョー・アーモン・ジョーンズ)ーUKジャズ注目の鍵盤奏者
・Shabaka Hutchings(シャバカ・ハッチングス)ー同じくUKジャズ界を牽引するテナー・サックス奏者
・The Watts Prophets(ワッツ・プロフェッツ)ーLAのスポークンワードのパイオニア
・Benny Wenda(ベニー・ウェンダ)ー西パプアの活動家で「西パプア」の分離・独立を訴える解放運動派

詳細な参加メンバーはDiscogsが詳しい

https://www.discogs.com/ja/Keleketla-Keleketla/release/15576217

なおTAMTAMの高橋アフィさんによるKeleketla!の解説記事もおすすめです

https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/25571

notfaleawaySQ_ad01




notfaleawaySQ_ad01




-MUSIC
-,

執筆者:

関連記事

上原ひろみ10年ぶりのピアノソロ作発表(1)最近ハマっている音楽とアーティスト

ジャズピアニスト・上原ひろみがJ-WAVEの番組「SAPPORO BEER OTOAJITO」に出演。最近聴いている音楽や、10年ぶりのピアノ・ソロアルバム『Spectrum』について語った。 新作は …

【話題のバンドの音楽ルーツ】the engyのフロントマン・山路洸至の場合「今年マーヴィン・ゲイを発見しました」

J-wave「TOKIO HOT 100」 hot 100」に10月29日にメジャーデビューEP『Talking about a Talk』をリリースするthe engyのフロントマン・山路洸至が出演 …

町山智浩が解説「実はツラい内容『スプリングスティーンの「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」はアメリカ賛歌ではない』」

TBSラジオ「アフター6ジャンクション」で映画評論家・町山智浩が、ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen )にインスピレーションを受けたといわれる映画『ブラインデッド・バイ …

矢沢永吉×矢沢洋子 父娘対談(5)歌詞を書かない理由「メロディが降りてくるんだって判るけど詞は降りてこないんだもん」

NACK5の矢沢洋子「generock by yoko yazawa」の第2週目。矢沢永吉・洋子の親子対談。今回は歌詞に関する話題です。 【矢沢洋子】今回のミュージックビデオを観せてもらって、ジャケッ …

「何人?と聞かれたら」クリス・ペプラーが東京人、coldrain・Masatoが名古屋人と答えた意味

クリス・ペプラーの番組J-WAVE「SAPPORO BEER OTOAJITO」にcoldrainのシンガーMasatoが出演。影響を受けたLimp Bizkit、Linking Park、Incub …