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細野晴臣・伊藤ゴローが語るジョアン・ジルベルト(3)

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インターFM「Daisy Holiday!」でジョアン・ジルベルトの追悼特集第2週目(2019年10月13日放送)。

名盤『ゲッツ/ジルベルト』の話題や、伊藤を中心に細野も参加した2013年のトリビュート・アルバム『ゲッツ/ジルベルト+50』についてなど、ジョアン・ジルベルトにまつわる話が続く。

ジョアン・ジルベルトの葬儀での「Chega de saudade」大合唱

【細野晴臣】こんばんわ細野晴臣です。今日も先週に引き続き伊藤ゴローさんに来ていただいています。よろしくね。
【伊藤ゴロー】よろしくお願いします。

【細野晴臣】ジョアン・ジルベルト特集です。早速だけどジルベルト追悼アルバムとか考えていないんですか?

【伊藤ゴロー】たまに「作ったらどうだ」という話はあるんですけど、細野さんどうですか?
【細野晴臣】いや僕…(笑)手伝うけど。作る時は。
【伊藤ゴロー】本当ですか? じゃあ作ろうかな。いいこと聴いた。

【細野晴臣】ジョアン・ジルベルトってブラジルで亡くなった後って、どういう感じなんだろう。
【伊藤ゴロー】そうですよね。
【細野晴臣】何か、どういう…やっぱり大人気でしょ?

【伊藤ゴロー】まあ、そうですよね。何か葬式の映像をちょっと見ましたけど、棺の前でみんなが「Chega de saudade」を歌っているのをちょっと見ましたけど。特別なショーですよね。

【細野晴臣】神様って言われているけど、そんな感じだよね。じゃあ、神様の曲聴かせてください。

【伊藤ゴロー】何がいいんでしょうね。じゃあ、あの「Chega de saudade」(想いあふれて)が1958年で、同じ年というか次のシングルといわないか、SPなんですけども「Bim Bom」ってスキャットの。

【細野晴臣】先週話は聞いたけど。
【伊藤ゴロー】「Bim Bom」これ細野さんにはピッタリだと思って。
【細野晴臣】ちょっと聴いてみましょうか。

「ゲッツ/ジルベルト」について

【細野晴臣】「Bim Bom」…若いよね、これ幾つくらいのなんのかな?
【伊藤ゴロー】20代後半。

【細野晴臣】変わらないね。声があんま。
【伊藤ゴロー】でも少し声が元気な声で多少。

【細野晴臣】元気がいいね、まだ。その後凄いよね。どんどん、どんどん声が沈んでいくというか。内向的になっていくというか…。であの、ジルベルトさんの音域と幸い僕ちょっと近いんだよ。

【伊藤ゴロー】いやいや、凄く同じこう…。
【細野晴臣】同じとは言わないでね、おこがましい(笑)。
【伊藤ゴロー】同じ帯域というか。

【細野晴臣】帯域が似ている。
【伊藤ゴロー】似ていますよね確かに。

【細野晴臣】だから他の人は高いからね普通の男の人って、高いというか僕に比べると。どっちかというと女性の帯域に近いんですよね。あの何だろうね…しょうがないんだけど、持って生まれた帯域なので。だから歌い難くはない…ですよね。その一緒に「歌ってくれ」といった難しい曲はスタン・ゲッツですよね。

【伊藤ゴロー】そうですね。
【細野晴臣】その頃のNYってそれ何年だ、70年代かな…。
【伊藤ゴロー】63年。

【細野晴臣】そうか…。それでその、どういう状況だったか知らないけどアストラッド・ジルベルトが、そこに居た訳だね。
【伊藤ゴロー】そうですね。

【細野晴臣】一体どういうことになったのあれ?
【伊藤ゴロー】あれは、まあジョアン・ジルベルトの当時の奥さんですよね。
細野晴臣】美人の奥さんがいて。

【伊藤ゴロー】まあ彼女もシンガーであったらしくて、彼女に歌わせようという。それはジョアンが歌わせたいのか、ちょっとまあ遊び、軽い気持ちで1曲歌わせちゃどうだ?ということだったらしいですけど。まあプロデューサーの…。

【細野晴臣】これは当たるぞみたいなことだろうね。
【伊藤ゴロー】クリード・テイラーが。
【細野晴臣】それでジョアンは落ち込んだのかな。そんなこともないの。

【伊藤ゴロー】いや、落ち込んだと思いますよ。だってあの、アルバムの方では歌ってるバージョンがあるのをジョアンの歌をカットして、アストラッドの歌でシングル…うーん。

【細野晴臣】それは心外だろうね。
【伊藤ゴロー】そうですね。一応ジョアン・ジルベルト・アンド・スタン・ゲッツみたいな。『ゲッツ/ジルベルト』というアルバムじゃないですか。それがシングルがアストラッド・ジルベルトという名義で…。

【細野晴臣】これはアメリカのね、ポップス業界の何かにやられちゃってという…。

【伊藤ゴロー】ねえ。どうだったんでしょうかね。
【細野晴臣】いやあ、何か気持ちは判るような気がする。だから混乱しちゃうよ、その後聴くと。ゲッツ・アンド・ジルベルトだと、ジョアンが歌っているけどね。

【伊藤ゴロー】そうですね。
【細野晴臣】まあその頃のその…あの難しい曲何だっけ?
【伊藤ゴロー】「プラ・マシュカー・メウ・コラソン」(Pra Machucar Meu Coração)

【細野晴臣】それそれ(笑)未だに覚えられない。それ聴こうかな。

【細野晴臣】(細野が歌うバージョンを聴きながら)恥ずかしいな、お邪魔だよ。
【伊藤ゴロー】いやいや、難しい歌ですよね。

【細野晴臣】難しかった…。いやいや冷や汗ものだよ。
【伊藤ゴロー】いや、いいですね。
【細野晴臣】でもこれは凄く原曲に忠実にやっていますよね、みんな演奏もね。

【伊藤ゴロー】そうですね。
【細野晴臣】原曲をかけるチャンスがなくなっちゃった(笑)。
【伊藤ゴロー】とでも素敵です、これも。

【細野晴臣】いい曲だなとは思いますけど。これはもう難しかったと。その後結構、クリスマスの「赤鼻のトナカイ」演ったよね。
【伊藤ゴロー】はい、『HoSoNoVa』で細野さんに歌っていただいて。

【細野晴臣】あれがね凄い好きなんだよ。あれは楽というか…気持ち良かった。
【伊藤ゴロー】僕も好きですねあれは。
【細野晴臣】あの時の弦アレンジとか凄いなと思ったんだけど。

【伊藤ゴロー】本当ですか。
【細野晴臣】ちょっとアバンギャルドで。
【伊藤ゴロー】お恥ずかしい…。

【細野晴臣】いや、何かまたやってほしいなと思うんだよね。
【伊藤ゴロー】あ、本当ですか。
【細野晴臣】本当、本当。

【伊藤ゴロー】やっていいですか?
【細野晴臣】いいよ、いいよ、やってよ。
【伊藤ゴロー】いや嬉しいな色々。

【細野晴臣】やることはいっぱいあるよ。
【伊藤ゴロー】じゃあ計画します。
【細野晴臣】ぜひぜひ。(つづく)

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