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ビートルズ『アビイ・ロード』50周年でわかった真実〜セッションの時は解散する気はなかった?

投稿日:2019年9月27日 更新日:

InterFM897「Ready Steady George!!」で発売日を迎えたザ・ビートルズの『アビイ・ロード』50周年記念エディションの発売元のユニバーサルミュージックの担当者・多田行徳氏を迎えての最新エディションの聴き方を紹介。

『アビイ・ロード』50周年は音楽のドキュメンタリー

【George Williams】忙しい日じゃないですか?今日は。
【多田行徳】そうですね、やっとこの日が来たという感じです。
【George Williams】私達の目の前にアルバムもあるし、このアルバムジャケット。これ凄い有名ですね。

【多田行徳】そうですね。
【George Williams】ビートルズの『アビイ・ロード』の横断歩道を渡っている写真で、当時このアルバムジャケット凄い話題になったんですよね。

【多田行徳】そうですね。アルバムに要はアーティスト名と商品名が入っていない初めてのアルバムで…。『アビイ・ロード』というタイトルは後から付いたんです。

【George Williams】そうなんですか。
【多田行徳】最初何も書いてなかったので。
【George Williams】えっ後から『アビイ・ロード』って呼ばれるようになったの?
【多田行徳】そうです。

【George Williams】ええ、俺結構色々知ってると思ったけど、知らないこといっぱいありますね。でも、当時ビートルズはライブもしてなくて、もちろんSNSは無いから。限られている情報というか、情報が殆どなかったという。

レコードを買う人は、やっぱりそこに「28IF」って書いてあるとか。ポールの死亡説って、ここからあるんですよね。この「50周年記念エディション」色々な形でリリースするそうですね。どういう形で?

【多田行徳】通常の1CDと、セッションというアウトテイクを入れた数CDと、それの最大拡張盤なんですけど、スーパーデラックス・エディションといいまして、3CDとBlue-rayが入っていまして、Blue-rayのなかには、なんと今回はDolby Atmosのリミックスが入っていて、映画館で聴いて頂くような、いわゆる7chと天井に6chあるというサラウンドで『アビイ・ロード』が聴けるという。

【George Williams】これは相当好きな人のためのだよね。
【多田行徳】そうです。
【George Williams】アナログ盤も色々と。
【多田行徳】通常のLPと3枚組のLPと、今回はピクチャディスクも。

【George Williams】これ本当に数多くのバージョンが出るんじゃないですか。悩まなかった?

【多田行徳】この50周年シリーズって2年前の『サージェント』から始まってまして、その頃からこのフォーマットはだいたい決まっていて、収録の内容によって若干変わるんですけど、まあこのLPとCDの拡張版というのは必ず出るようになっていて。

今は聴き方が様々あるので、デジタルも含めて「皆さんの聴きたい方法で聴いてください」というところで色々な形で提供していることなので、余り知らない方は1CD、本当に詳しく聴きたい方はスーパーデラックスを聴いてくださいという形で、ご提供させて頂いている形ですね。

【George Williams】『ホワイト・アルバム』のLPこのを僕は持ってるんですけど、いやーこのデモも最高なんですよ。ビートルズ・アンプラグド的なもので。
【多田行徳】イーシャー・デモですよね。

【George Williams】で今日は『アビイ・ロード』。でアナログ盤は先程、多田さんが言ったように3枚組のデラックス・バージョンと1枚のみのバージョンがあって、それで3枚組のデラックス・バージョンには色々な未発表のセッション音源とかデモ音源とか、色々。そのCDの方にもね。
【多田行徳】同じものが23曲入っています。

『アビイ・ロード』50周年の目玉音源は?「全部」

【George Williams】特に目玉となる音源って?多田さんどう考えていますか?
【多田行徳】これはですね。こういう言い方をすると身も蓋もないかもしれませんけど、全部なんです。未発表なんですよ。それって選べないのが実情でして…。

【George Williams】これ「Take27」回目のてテイクとか入ってたりとか「えっ何回演奏してきたの?」というのは、ありますね。ちょっとこのアルバム、私達は一つのバージョンしか知らないからだいたいそうなんじゃないですか。でもそこに辿り着くまでの、道のりも未発表音源で知ることができるんじゃないですか?

【多田行徳】そうですね。こういうセッションズというのは映画でいうドキュメンタリーの音楽版みたいなもので、完成した例えば『Come Together』という曲が「どういう過程で作られたか」というのを皆知りたかったと思うんですよ。

それを知る手がかりとして、今回ご提供させて頂く形なので、オリジナルで十分という方もいれば、本当は知りたかった人もいると思うので、そういう人たちのために、今回そういう中から『Come Together』は1バージョンですけど、テイク違いが入っているという感じです。

色々なものを教えていただきましたビートルズのみなさんには…(桑田佳祐)

『アビイ・ロード』50周年を聴いた担当者の感想「改めて凄い人たちと…」

【George Williams】ビートルズの担当として『アビイ・ロード』が、手元に届くじゃないですか、最初に聴いたときに何を感じました?

【多田行徳】やはりジャイルズ・マーティンが、今回「今の人達に聴いてもらいたい」という形で、音をミックスし直していますので「おっ」という感じですね。「あっ、こう来たか」みたいな。自分たちが知っている位置と変えて来ているので「ああ、なるほどなるほど」みたいな。

【George Williams】ミックスもそうだし。
【多田行徳】自分が頭にあるイメージと違うじゃないですか。『アビイ・ロード』は最初からステレオで録っているので、『サージェント』とか『ホワイト』に比べると、そこまで差がないんですけど。やっぱり「ああ、こうしたか」というのはありますね。

【George Williams】未発表音源はいかがでした?
【多田行徳】未発表音源は今回録った順番に入れてるんですね。最初が『I Want You』という形で、それを見ていると他の商品に比べて制作期間が短かかったアルバムなので。

「Get Back」セッションが終わった後に、バンドがおかしくなりかけたときに「もう一回やろう」と言って、凄い短期間で、『サージェント』とか『ホワイト』みたいに作る時間が長かったのに比べると、割と短い期間で作ったんで、「この短い時間でこれまでのモノをいっぺんに作れるこの人達は何者だ」と、改めて凄い人達なんだなと感じました。

ポール所有の渡る直前の、別アングルからのリンダの写真とかもね、今回出てきまして…

『アビイ・ロード』は本当にビートルズの最後だったのか?50周年を迎え「もうちょっと演ろう」という会話も発見

【George Williams】これが最後のレコーディングになったんですよね。
【多田行徳】そうですね、実質的にはそうですね。ただ『Let It Be』がその後に出た時に、新しく音を加えているので盤としては『Let It Be』の方が後なんですけど、本人たちがバンドとして作ったのは事実上最後のアルバムという。

【George Williams】そういうのもちょっと感じる?
【多田行徳】感じますね。最近の報道だと「この後ももうちょっと演ろう」という会話が残ってたというのも出てたりするので、本人たちはこれを作った時点で終わるつもりはなかったんだなという感じがしますね。(つづく)

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