かきおこしラボ

ラジオで紹介された音楽を深掘り〜聴き放題サブスク用ライナーノーツ風ブログ

MUSIC

上原ひろみ10年ぶりのピアノソロ作発表(2)意外なThe Whoへの傾倒と共演者たちについて語る

投稿日:

ジャズピアニスト・上原ひろみがJ-WAVEの番組「SAPPORO BEER OTOAJITO」に出演。意外にも最近ハマっているというThe Whoについて、そしてこれまで共演したアーティストや関わりのある大物ミュージシャンついて語った。

私はピートに恋をした…「本当にあんなにカッコいい人いるんだ」と

【クリス・ペプラー】この番組はゲストの皆さんにアンケートに答えていただいて、今ハマっているのはどんな人みたいなのを訊くんだけど、今The Whoにハマっているそうで…。

ひろみちゃんのThe Whoが同じステージに立つというのはちょっと。でもピノ・パラディーノが…だもんねThe Whoで。「彼演ってるし」みたいな。

【上原ひろみ】The Whoは私、初めて聴いたアルバムが『Quadrophenia』(四重人格)ってアルバムで、『四重人格』が本当に大好きで、あれを聴いた時に「何だこの人達」という衝撃があって、それから『Who’s Next』とか色々聴きだして。

まずピート(タウンゼント)。私はピートに恋をした…「本当にあんなにカッコいい人いるんだ」というか。
【クリス・ペプラー】あのブン回しギター?

【上原ひろみ】やっぱりロックギタリストって、容赦なくみんなカッコいいじゃないですか。
【クリス・ペプラー】ねえ。
【上原ひろみ】ジェフ・ベックにしろ、キース・リチャーズにしろ、そこにいるだけでカッコいいというか。ピートは別格だった自分の中で。

【クリス・ペプラー】そうなんだ、それはいつぐらいのピート?
【上原ひろみ】時期的にはワイト島のあたりかな。
【クリス・ペプラー】じゃあ結構前だよね。

【上原ひろみ】凄く好きで、3年前かな「BBC Proms」という、イギリスでクラシックの音楽の祭典みたいなのがあって。ロイヤル・アルバート・ホールというホールで演るんだけど、由緒あるホールで。

そこに初めて出ることになって、ロイヤル・アルバート・ホールの楽屋口にはじめて入ったらピートが、楽屋口に写真があって、もう思わず拝んだ(笑)神棚のように「すごいピートが立ったステージにこれから立つんだと思ったら凄くドキドキして。

【クリス・ペプラー】ひろみちゃんはそういうところあるよね。こんなビッグスターなのに普通のファンみたいなふうになっちゃうもんね。

Whoってスゲエなって思ったのは、基本的にモッズじゃん。『My Generation』とか凄いシンプルなロック、いわゆるプロト・パンクみたいな音じゃん。

凄いシンプルなんだけど、どっかで『Tommy』あたりなのかな、凄くマジェスティックというかさ、音の…何であんな風に変化したんだろうね。コードはそんなに違いは無いんでしょ?それとも違う…?。

サイモン・フィリップスとアンソニー・ジャクソンが特別な理由

【上原ひろみ】音楽の捉え方が違う感じがする。もっとドラマティックというか、サイモン(フィリップス)と演るようになってから、結構ピートの話とかジョン(エントウィッスル)の話とか聞いて、凄い羨ましくて(笑)。

【クリス・ペプラー】サイモンも凄いよね。ひろみちゃんみたいなジャズの大御所とも演ってるけれど、ブラック・サバスとも演っているし…。

【上原ひろみ】私は大御所ではない(笑)。
【クリス・ペプラー】だから大御所という表現というか「Very talented」という意味で。ジャズのトップクラスの人たちもとやるけれどブラック・サバスもやってるでしょ、それが凄いと思って。

【上原ひろみ】The Whoもやってるし。
【クリス・ペプラー】だからサイモンは凄いよね。ドラマーでサイモンが好きな人いっぱいいるもの。凄いワイドレンジじゃん。

【上原ひろみ】音が本当に素晴らしい。音質というか、一つ一つの彼は凄くドラムが周りに多いけれど、一つ一つのドラムにちゃんと意味があって、チューニングのし方を見ていても、本当に凄い拘りというか彼自身がやっぱりレコーディング・エンジニアでもあるから、音に対する拘りが凄いなって。

【クリス・ペプラー】TOTOもやってたもんね。本当にありとあらゆる。アンソニー(ジャクソン)カッコ良かったしね。アンソニーも結構色々、モータウンも行くしさ、なんでも。

【上原ひろみ】ポール・サイモンもやってたし。
【クリス・ペプラー】何かヘンなディスコナンバーで…
【上原ひろみ】Money Money Money

【クリス・ペプラー】あれもYouTubeとかでゴッド・ベース、レジェンド・ベースみたいな必ずアレが
【上原ひろみ】そう、このベースライン

【上原ひろみ】本当にサイモンとアンソニーだけじゃなくて、もちろんスティーヴ・ガッドとかもそうだけど。

凄いミュージシャンの人を見て思うのは、勿論技術とかテクニックというのは、サイモンも凄いテクニックだし、そうなんだけど音。やっぱり一音(いちおん)、トーン、アンソニーも凄く音が説得力のある一音で、人の心を全部持っていけるというか、勿論彼らの音質に対する拘りもそうだし、「一音が全てなんだな」という感じを本当に感じます。

【クリス・ペプラー】なんか音にオーラがあると言っても「は?」という感じだけど、何かそんな感じがするよね。腹から来るという感じじゃないけど。凄い芯というかね。 

【上原ひろみ】ガッドのバスドラとかも「ガン」って来たら波動拳みたいな感じ(笑)。「ドン」と来て凄いなぁって。

【クリス・ペプラー】それも余り力を少なからず、多からずちょうど絶妙な圧というかさ、キックのトンみたいな、スナップというかカンフーみたいな感じなのかね。音楽は東洋武術、何か似ているような、丹田に力を込めて「ハッ」と出すような。そこって近いものが、どうですか、ありますか?

【上原ひろみ】あります(ギョウザを食べながら)(笑)。
【クリス・ペプラー】ニューヨークはギョウザはある?
【上原ひろみ】ある。ギョウザは世界中にあるっていうか、好きな人が多い。日本に来たら「ギョウザ」ってみんな。

【クリス・ペプラー】何だっけ、前アンソニーが来れなかったときの…。
【上原ひろみ】アドリアン(フェロー)、今まさにアドリアンの話をしようと、思ってて(笑)。

【クリス・ペプラー】アドリアンがギョウザ好きなの?
【上原ひろみ】ギョウザも好きだし、お寿司大好き。
【クリス・ペプラー】「すしざんまい」が好きなんだよね。

【上原ひろみ】そう、なんか最後お辞儀して、いつも手を広げるのを皆フランス人、彼はフランス、パリ出身だから「フランスの人は手を広げるんだろう」って思ってたみたいだけど実は「すしざんまい」の社長さんのポーズだったって言う(笑)。面白くて。

メタリカのベーシスト・トゥルヒーオのミュージシャンシップ

【上原ひろみ】ロバート(トゥルヒーオ)(Robert Trujillo)がやってるMass Mentalというバンドが面白い。

【クリス・ペプラー】ほんと。
【上原ひろみ】彼は勿論メタリカ、スイサイダル・テンデンシーズで有名だけど、Mass Mentalというバンドを、どちらかというとロサンゼルスの小さいハコ中心で演っていて、ちょっとザッパっぽい。

【クリス・ペプラー】これはジャコ(パストリアス)のカバー?
【上原ひろみ】2〜3枚くらいしかアルバムが出ていなくて。
【クリス・ペプラー】へえ、トゥルヒーオもいいよね。あの人好きだ、生き様がカッコいい何かやることが。

【上原ひろみ】そうね、しかも音楽に対する尊敬というか、凄くある人で。そうだ思い出したトゥルヒーオが、前回エドマール・カスタネーダとライブをしたときにロスに観に来てくれて。その時にちょうどジャコの映画が完成したぐらいの時にエドマールの書いた「For Jaco」という曲をライブで演っていて、何か凄く繋がって。エドマールも下の弦はハープだけど全部ベース弦にしてるくらいベースが好きだから、ジャコに凄く…。

【クリス・ペプラー】前にひろみちゃん言ってたよねベース弦にしてるんだよね。
【上原ひろみ】そう、凄く尊敬がある人で、それを2人が通じ合って。
【クリス・ペプラー】でも、そうかそうか、ベース弦にするのは渋いよね。ちょっとチャップマン・スティックっぽ発想だよね。「ローはベースにしちゃえ」そうすれば一台で色々な。彼もエドマールもハープを変えちゃったもんね。ハープのジミヘンだもんね。

新たな道を開拓したエドマール・カスタネーダとの共演

【クリス・ペプラー】ジャコは「ベースのジミヘン」って良く言われるじゃん。エドマールは「ハープのジミヘン」だろうね、そう考えると。

【上原ひろみ】本当にはじめて観た時にビックリ「こんなハープの使い方があるんだ」っていう革新的だったし。

【クリス・ペプラー】凄いよね。あとは、それまで前例が無かった訳じゃない、ああいうような弾き方。そこでこうモノにするというか、完成というか、一つの確率された、それは凄いよね。それまで存在しなかった奏法みたいなものを編み出すだけでも凄いんだけど、それが超絶のレベルに持って行くというのはね。

【上原ひろみ】観た瞬間に、2016年かな。モントリオール・ジャズ・フェスティバルに出た時に、彼がオープニング・アクトをソロで演っていて、私はトリオで出ていたんだけど、はじめて観て「絶対一緒に演る」って確信した、その瞬間に。

「絶対またこの人と会うな」と思って連絡先交換して、その後すぐにセッションをしてブルーノート・ニューヨークで初めて一緒に演ったんだけど、翌年のモントリオール・ジャズ・フェスティバルで一緒に演った時のを録ってアルバムも作ったんだけど「こんなハープの使い方があるのか」というのを感動したし。

【クリス・ペプラー】僕もブルーノートで前に観たけど、素晴らしかったよね、凄いカッコ良かった。

【上原ひろみ】そうハープって、凄く流麗なイメージがあるけどカッコイイ。やっぱり彼はコロンビア人だから、ハープがパートナーで一緒にダンスをしているように、演奏するから、それが凄く印象的。

【クリス・ペプラー】ハープはポロロロローンみたいな感じだけどさ、ミュートをバキバキに使うじゃん。凄いファンキーで、ひろみちゃんも2人ともパーカッシブだから、そこが面白いなと思って。ドラムの役割というのをひろみちゃんの鍵盤だってガンガン打楽器、概念的にはそうじゃん、だからそのあたりのビート感が凄く面白かったなと思って。

【上原ひろみ】彼曰く、ピアノで演るのは凄く難しいらしくて、ピアノとハープで弦楽器だから、お互いを殺し合うイメージがあるんだけど「ひろみとは不思議とお互いを活かしあえるね」っていう話をして。

【クリス・ペプラー】グランドピアノを開くと「ハープじゃねえかみたいな」だもんね。
【上原ひろみ】立てるとハープみたいな。(つづく)

凄くスッと心を持っていかれるていうか。ブラッド・メルドーがとにかくタイムがいい(上原ひろみ)

notfaleawaySQ_ad01




notfaleawaySQ_ad01




-MUSIC
-, , , , , , ,

執筆者:

関連記事

ボブ・マーリーの肖像画

Char「音楽観が変わった」1979年のボブ・マーリー体験を明かす「高いところに向かって、みんなで上がっていくという感じが凄いした」

J-WAVEの特番「J-WAVE SPECIAL」(10月22日放送)に、Charが電話出演。ライブミュージックがテーマの番組で、1979年のボブ・マーリーの来日公演を観たCharがその衝撃的な体験を …

「『プロレススーパースター列伝』がヒント」KIRINJI(キリンジ)堀込高樹はなぜプロレスの曲「悪玉」を書いたのか?

ラジオ日本「真夜中のハーリー&レイス」(2019年11月3日放送)にKIRINJIの堀込高樹が出演。清野茂樹がKRINJI唯一のプロレスを題材にした曲「悪玉」の誕生のいきさつについて聞いた。 プロレス …

【ライヴ映像が門外不出】山下達郎が動画配信に踏み切った理由

山下達郎が7月30日に動画配信サービス「MUSIC/SLASH」でライヴ演奏を初配信することを発表した。4500円とストリーミング配信としては高額なことがネット上で語られる一方で、山下達郎は映画上映な …

Krevaがヒップホップにハマるきっかけは「ボビー・ブラウンに似た人」だった

80年代後半ダンスブームや輸入盤CDがもてはやされた時代 世間のヒップホップの認知度は? KrevaがJ-WAVE『SEIKO SOUND STORAGE』のゲストとして出演。自身のヒップホップとの出 …

坂崎幸之助とタブレット純が語るグループ・サウンズの世界(4)意外な人のGS歴を探る

JFN系『坂崎さんの番組という番組』に芸人のタブレット純が出演。著書『タブレット純のGS聖地純礼』(星雲社)から広がるディープ過ぎるグループ・サウンズの世界の話は続きます。 もともと違うバンドがグルー …